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ヘリコバクター・ピロリ菌は、胃の粘膜に生息している細菌で1982年に発見されました。
ピロリ菌の感染の多くは口からの感染でおこるといわれており、衛生環境が悪いと感染率が高くなります。日本人は欧米人に比べて感染率が高く、かつて衛生環境の悪かった時代に幼少期を過ごした、今の60歳以上の世代では50~60%の人がピロリ菌に感染しています。
ピロリ菌に感染すると胃に慢性的な炎症を起こし、感染者の2~3%が胃・十二指腸潰瘍になります。薬で潰瘍が一旦治ったとしても、ピロリ菌が残っていると潰瘍が再発しやすいため、現在は潰瘍の治療と 平行してピロリ菌の除去治療(除菌療法)が行われています。
またその後の研究でピロリ菌は、胃癌の発生にも深くかかわっていることがわかってきました。
胃の中のピロリ菌を除去するため、3種類の薬(抗生物質2種類と胃酸を強く抑える薬1種類)を、1週間内服します。
除菌治療の成功率は、約90%です。抗生物質に抵抗性のピロリ菌に感染している場合は成功率が低くなります。除菌の副作用として、軟便~下痢になる方が時々いますが重篤なものはありません。
除菌治療の薬を飲み終わって2~3ヶ月後に、除菌判定を行います。
(治療直後は正確な判定ができません)
治療後の検査法は上記の中で尿素呼気試験が最も適しています。
これまでピロリ菌の検査や治療は、胃潰瘍など一部の病気の方にしか保険診療が認められませんでしたが、ピロリ菌による慢性胃炎(萎縮性胃炎)が進行すると、胃がん発生のリスクが高くなることがわかってきたため、平成25年2月から慢性胃炎の方にも保険診療でのピロリ菌の検査や治療が認められています。
ただしピロリ菌の検査を受けるには、内視鏡検査を行い胃炎であることの確認が必要です。